秋山潔
作家の言葉
作家の言葉 秋山潔
腐蝕する記憶
「記憶はそれがどんなに歪んだ表象を結ぶにしても、それ自体が真実である」これは、以前読んだ記憶に関する文章に書かれていた言葉です。
記憶は覚えた直後から急激に失われていきます。印象は抽象化あるいは象徴化され、その後長い時間心に留まるのです。そこには視覚的記憶だけでなく、音や匂い、空気感まで含まれている事は言うまでもありません。
近年、記憶の断片や既視感を覚えた風景の写真を素材に作品を制作しています。私の記憶のなかの風景は具体的な場所や事柄ではなく、風にゆらぐ草や、水の流れ、木々のざわめきであったりします。過去の無意識の印象が、新たな記憶の形として甦ってくるのです。私は「うつす」という事にこだわり、錆という「版」の表面にまなざしを向けてきました。そこには時間に触れる、剥がすという意味、行為があります。うつろう、朧げな記憶、時間をうつしとる事が、私の制作の関心事なのです。
美術家 秋山 潔
(2007年 ART FRAGMENTS 3号より)
「記憶はそれがどんなに歪んだ表象を結ぶにしても、それ自体が真実である」これは、以前読んだ記憶に関する文章に書かれていた言葉です。
記憶は覚えた直後から急激に失われていきます。印象は抽象化あるいは象徴化され、その後長い時間心に留まるのです。そこには視覚的記憶だけでなく、音や匂い、空気感まで含まれている事は言うまでもありません。
近年、記憶の断片や既視感を覚えた風景の写真を素材に作品を制作しています。私の記憶のなかの風景は具体的な場所や事柄ではなく、風にゆらぐ草や、水の流れ、木々のざわめきであったりします。過去の無意識の印象が、新たな記憶の形として甦ってくるのです。私は「うつす」という事にこだわり、錆という「版」の表面にまなざしを向けてきました。そこには時間に触れる、剥がすという意味、行為があります。うつろう、朧げな記憶、時間をうつしとる事が、私の制作の関心事なのです。
美術家 秋山 潔
(2007年 ART FRAGMENTS 3号より)
黒ゴムを素材にした線の作品、版画作品などを経て、近年はさびを使った重厚な表面の奥にさざ波や秋草のそよぐ映像が見え隠れする、視覚と心象が複雑にオーヴァーラップする作品を発表している。
国内では積極的な個展/グループ展活動を展開。東欧や東アジアなど国際的にも活躍。チェコや韓国の美術館にも作品が収蔵されている。
「視覚と記憶」という人間を人間たらしめる最も根元的な問題に的を据えて制作する作家。
1952年 山梨県生まれ
1993年に錆の転写による作品「時の温度、Touch the Time」シリーズ開始、「日仏現代美術展」「現代日本美術展」など個展、グループ展多数
杜の都・仙台ゆかり : ーーーー
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