根岸嘉一郎
作家の言葉
作家の言葉 根岸嘉一郎
郷愁
久しぶりの帰郷(信州小布施)でした。お盆の墓参りに上げるお花が貰えたり買ったりできる「お花市」と呼ばれる祭りに三十年ぶりに行ってきました。子供の頃、僅かな小使いを握りしめ、夜店にしがみ付いて品定めをしたり、かき氷を食べるのが楽しみだった頃を懐かしく思い出しながらの歩く道すがら、行きかう懐かしい顔、顔、顔。・・・しかし何かが違う。何かが。・・・そうだ!あの灯篭!蝋燭の明かりに川柳や俳画が浮かび上がる燈篭が無いではないか。町の有志が描いて街路樹の幹や軒下、電柱などに点々と灯り、それを観ながらのそぞろ歩きが本当に楽しかったのに。
私は今、墨で絵を描いていますが、年々仲間が減少していく。筆を持つ若者が殆んどいない。あと二十年もしたら如何なってしまうのか。いくら文明の進化といえども大切なことを忘れてはいないだろうか。と怒りながらの帰路でした。
画家 根岸嘉一郎
久しぶりの帰郷(信州小布施)でした。お盆の墓参りに上げるお花が貰えたり買ったりできる「お花市」と呼ばれる祭りに三十年ぶりに行ってきました。子供の頃、僅かな小使いを握りしめ、夜店にしがみ付いて品定めをしたり、かき氷を食べるのが楽しみだった頃を懐かしく思い出しながらの歩く道すがら、行きかう懐かしい顔、顔、顔。・・・しかし何かが違う。何かが。・・・そうだ!あの灯篭!蝋燭の明かりに川柳や俳画が浮かび上がる燈篭が無いではないか。町の有志が描いて街路樹の幹や軒下、電柱などに点々と灯り、それを観ながらのそぞろ歩きが本当に楽しかったのに。
私は今、墨で絵を描いていますが、年々仲間が減少していく。筆を持つ若者が殆んどいない。あと二十年もしたら如何なってしまうのか。いくら文明の進化といえども大切なことを忘れてはいないだろうか。と怒りながらの帰路でした。
画家 根岸嘉一郎
作家は風景や花などの伝統的なモチーフだけにとどまらず、WALLシリーズなど意欲的な題材に果敢に挑んできた日本を代表する現代水墨画家である。先人の蓄積してきた仕事を振り返りながらも様式に安住することなく独自のスタイルを創造し練り上げてきた。それは驚くべき筆力と、物事の本質的な部分を知りたいという熱い探求心とが相乗し、共鳴し続けた道程である。近年ますます抽象的心象表現へとその仕事は進化しつつある。
1944年 長野県小布施町に生まれる
1970年 日本画家 佐藤紫雲に師事
1972年 現代水墨派協会展初入選、奨励賞
1974年 現代水墨派展賞
1996年 全国水墨画美術協会理事・審査員となる
1997年 小布施中学校に「千曲川」寄贈
2002年 現代遊墨展を現代日墨画協会に組織化「現代日墨展」会長となる
2004年 中日書法絵画交流大展に参加。中国文化省に「塔」「蔓薔薇」2点収蔵
2006年 第27回全国水墨画秀作展にて内閣総理大臣賞を受賞
第45回現水展にて文部科学大臣賞を受賞
2010年 第 40 回双樹展にて双樹展賞受賞
現代日墨展会長・東京都北区美術会常任委員・東京都北区水墨画協会副会長・NHK学園講師・全国水墨画普及協会理事審査員・現代水墨画協会常任理事
著書 『水墨画・墨に遊ぶ』’97秀作社刊
杜の都・仙台ゆかり : ーーーー
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